タイトル:【El】改革案募集マスター:碧風凛音

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/01/28 00:53

●オープニング本文


「ユイリー代表――」
 30代後半の女性にそう声をかけられたのは、眼鏡をかけたわりと大人しそうな少女‥‥しかしその実態はエルドラドの国民代表という重責を担う立場にある少女である。
「どうしたのですか、イガラス監査官?」
「そろそろ国情も安定してきましたし、復興に向けて動き出しても良い頃かと思いまして、腹案を用意してまいりました」
「そんな、監査官のあなたにそんなことをしていただくなんて‥‥」
「わたくしも移民の子として苦労しましたからね、代表のお気持ちはよく分るんですの」
 ケイ・イガラス監査官――UPC北中央軍からエルドラドに派遣されてきた文官で、エルドラドがバグアと関わりがないことを確かめることと、エルドラドが執る政策の監査をするのが仕事である。だが、同じ移民の子として苦労してきたユイリーに対して非情に同情的で、このように政策を提案するなど、監査官と言うよりは実質的には補佐官である。
「ですから、少しでも代表のお役に立ちたいと思いまして‥‥」
「ありがとうございます」
「それで私の案ですが、まずは豊富なアマゾンの水資源を利用して工場を造るというものです。ただ、いきなり大規模な工場を造るには資金も技術もたりませんし、なにより兵器工場を作っていると誤解させる怖れもありますので、まずは町工場で板金加工などの今後必要な産業を興すなり、この地方独特の工芸品を作るなどして市民の働き口を作るのがよいかと思われます。もっとも、わたくしにはこの地方独特の工芸品というものが分りませんので、能力者達を集めて改革案を募集することにしたいと思います。許可をいただけますかしら、代表?」
 ユイリーは少し悩んだが、それがエルドラドのためになるのであればと承諾した。
「それから、もう一つ案がございますの」
 イガラス監査官が示したのは、現在エルドラドが保有しているKVの実機を改造してシミュレーターにしてKVを仮想的に操縦できるようにし、かつエルドラドの充実しているネット網を利用して通信対戦のできる総合アミューズメント施設を建設するというものである。
「この案は機械産業、ネットワーク産業、コンピューター産業、飲食業などが関連してくるので一つの政策レベルの事業になると思います。実現すればかなりの経済効果を見込めるのではないかと思います。また、KVを解体して玩具にすることによって、エルドラドのクリーンなイメージをアピールできるのではないかと思います。問題は――」
 問題は両方を同時に実現するだけの資金がないこと。したがってこれも能力者達にどちらを優先するかを聞くべきだろうとイガラス監査官は言った。
「なるほど。イガラス監査官のほかにさらに第三者‥‥と言うよりも第四の目が入るわけですね」
「そうです。能力者はUPCとは密接な関係にあるとはいえ基本的に独立していますし、様々な経験を積んでいますから、きっと良い案を出してくれると期待しています。
 それから、最後になりますが、実はわたくしドロームに‥‥と言うかドロームの研究所に勤めているとある人物にコネクションがありまして、その人物所属する研究所が開発している新型戦車とそのバリエーション機を含む車両群の演習と実戦テストをエルドラドで行うことになりました。これは決定事項です。エルドラド周辺からはキメラはほとんどいなくなりましたが、野生化したキメラが残っていて時々出没します。そのキメラ退治も含めての新型戦車の実戦テストになります」
「そうですか‥‥ドロームとは色々ありましたが、これを機会に良い関係を築ければいいですね」
「はい。わたくしなどは未だに准尉ですが彼は30歳で少佐にまで出世した人物ですから、軍を辞めたとはいえ影響力はまだまだあると思いますよ。実はわたくしもその点に多少期待を寄せているのです」
「良い影響があるといいですね」
 ユイリーはそういうと書類に視線を落とした。それから、イガラス監査官を見上げる。そしておとなしそうな少女が精一杯の決意を込めた表情で言った。
「監査官、まだまだエルドラドは信頼が足りないと思いますが、これから一歩ずつこの国がクリーンであることを証明していくつもりです。御協力願えますか?」
「ええ、もちろんですとも。ユイリー代表」
 イガラスはそれに微笑んで頷く。
「ではイガラス監査官、今回の提案は工業化か娯楽産業か、どちらを選ぶかを能力者の方々に意見を聞くと言うことですね?」
「そうです。それと後者に関しては、まずは試験的にエルドラドが保有しているKVを2カ所に配置してみるか、あるいは『この町はこの機体とこの機体がプレイできる町』というように複数に拠点を置いて特色を出すか、このどちらにするかの意見も求めたいと思っています。そのほかにもエルドラドの改革案があれば提出して貰い、代表とわたくしの合意が得られた案をわたくしの監査の通った政策案としてUPCに提出します。そうですね、こんなところですわね」
 それからユイリ−とイガラス監査官は、ユイリーの執務時間が終わるまで、この国を変えていくための政策について話し合ったのであった。

●参加者一覧

終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
シェリー・ローズ(ga3501
21歳・♀・HA
エレナ・クルック(ga4247
16歳・♀・ER
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
カルマ・シュタット(ga6302
24歳・♂・AA
織部 ジェット(gb3834
21歳・♂・GP
鹿島 綾(gb4549
22歳・♀・AA

●リプレイ本文

 ユイリー代表が執務を行うプレハブ小屋に能力者達とケイ・イガラス監査官が集っていた。そしてそこにユイリーの姿がないことを能力者達は不審に思っていた。
「ユイリーは、代表はどこだい?」
 そんな彼らを代表して尋ねたのは鹿島 綾(gb4549)だった。
「そのことでお知らせがあります。終夜・無月(ga3084)さんとUNKNOWN(ga4276)さんはご存知でしょうが、代表は演説での途中でお倒れになられました。医師から安静を求められておりますので、残念ながらこの場には参加できなくなりました。今回は皆さんから意見を求める場ということで即決定をする場では御座いませんので、ユイリー代表よりわたくしに一任されました。もっとも、軍の立場から賛成できない案に関してはこの場で却下することになると思いますがご容赦ください」
 監査官の言葉に能力者達がざわめく。
「皆で散策しながら話し合いをしたいと思っていたのだが、その様子だと無理なようだな」
 UNKNOWNがそう言うと、イガラスは「代表を病室からだすわけにはいきませんので」と答えた。
「なるほどね。じゃあ、その点も含めてエルドラドの現状を把握しておきたいんだけどお願いできるかな?」
「現状と言いましても多岐にわたりますが、どの様なことを知りたいのですの?」
「そうさね、経済状況や治安、医療に関する事などかな」
「経済は外交関係がそもそもありませんので自給自足で成り立っていますわね。治安は我々UPC軍が居るのでなんとか安定している状態で、医療はダンデライオン財団による定期的な物があるといった具合ですわ。他に何かありまして?」
「あとは演習を行う連中のことについて聞きたいかな? もし、国民が安易に接触できる場所に駐屯したり、露骨な軍事演習をするつもりなら、そういった部分は止めておきたいね。国民の感情を考慮するならば、あくまで『野良キメラを退治し、エルドラドを護る為に来た』っていう感じにして欲しいさ」
「それは今現在軍の方でエルドラドの外れの方に演習場を急ピッチで作っているところですわね。演習については、すでに一回目はスケジュールが組まれているので中止は出来ませんが、その後はすぐに野良キメラ退治に出てもらうつもりです。畑を荒らすキメラが居るそうですので」
 演習の話が出たところでエレナ・クルック(ga4247)が手を挙げた。
「その、今回の演習はどういう経緯で決まった物なのですか? エルドラドのためとは言え、ユイリーさんに事前に話しをしないのは主権侵害ではないですか? 責めるつもりはないですがエルドラドをちゃんと1つの国として見て欲しいです」
「残念ながら‥‥エルドラドは現在どの国にも主権国家として認められておりませんわ。そもそも政府も法律もジャック・スナイプ体制の頃の物しかございませんし、かつてバグアと関わっていた過去から、この国に救いの手をさしのべる国家はありません。また、エルドラド建国に関わった人物の一人が元ドロームの社員で、開発中の新型機と大金を盗んでエルドラドという国を作りました。したがって、駐留しているUPC北中央軍のドローム閥の‥‥いえ、なんでもありません」
 イガラスは軽く咳払いをして誤魔化す。
「確かに事前に代表に話しを通さなかったのはこちらに非がございますが、ドローム社とエルドラドの融和策のひとつと思っていただければよろしいですわ。もっとも、道のりは遠いでしょうけれども」
 イガラス監査官はしゃべり終わると大きくため息をつく。
「分りました。それから、エルドラドの復興のためになればと思って資料となる専門書とか、あとは子ども達のために絵本とかも買ってきたんですけど‥‥」
 エレナがそう言うと、イガラス監査官は微笑んでお礼を言った。
「私も以下のような物を持ち込んでいます」
 そう言ったのはアルヴァイム(ga5051)で、当座の医療品や衣料品、専門書の類、都市計画関係資料、国際規格の関係書類、ボーリングマシンと燃料、マニュアル、測量機器、マニュアル等だった。
「私も、アルヴァイムからの費用になりますが、種籾と種芋、計測器具や必要になりそうな機材、材料等を購入しておきました。あとは大学で政治学や社会学等の文献調査をおこない、上水道・地質学・農学等の実施要綱を作成しました。大学教授にも助言を求めたので、おそらくはこれで問題ないかと思います」
 UNKNOWNがそう言うとイガラス監査官は能力者達に向かって深々と頭を下げた。
「皆さまのご支援、非常にありがたく思います。ユイリー代表に一任されたものとして、お礼申し上げます。ただ惜しむらくは、エルドラドには技術職や専門職などがほとんど居ないのが現状なので、外部からの人材募集も必用になってくるところですわね」
 人材の話になったところで無月が声を上げた。
「その人材なんだけど、エルドラド内部からは集められないのかな? ユイリーの側近も必用になってくるだろうし、ケイもいつまでも居るわけじゃないだろう?」
「そうだな。一人で国が背負えるものか。国民の意見で選挙をする事で、理解者に任せる事だって大事だぜ。一人じゃ疲れちまうよ」
 織部 ジェット(gb3834)がそう言って公務員の制定を提案した。
「それならば憲法をはじめとした法律の整備も必要になってくるのではないでしょうか? こちらの用意した品物の中に法律関係の物もありますし、民主主義に移行する以上、法律の整備は必要でしょう。今すぐでなくとも構わないとは思いますがね」
 そしてアルヴァイムが入り込んでくる。
「まあ、その辺りのことはユイリー代表がご回復なさってから決めますわ。案としては受取っておきます。では他に何か案がございましたらお願いしますわ」
 その言葉に無月が反応する。
「エルドラドには鉱物資源が眠っているはずだよね。それを採掘して資金源にすると言うのは?」
 それを聞いてイガラスは形の良い眉をひそめた。
「残念ながら、現在のエルドラドに鉱物資源はありませんわ。これは前任者が資金繰りを考えていなかったので、鉱物資源は乱獲され、全て掘り尽くしてしまったからです。いただいた機材や資金については鉱物資源の探索意外にも使い道はあるでしょうから、これも後々ユイリー代表と話し合いますわ」
「そう‥‥残念だね」
 同じ事を提案しようとしていた綾がそう呟く。エルドラドの地下資源開発には期待をしていたのだろう。
「では、私はエルドラドの主産業として一次産業を推そう。生きるのが先だ。自立した生活行える様に、生活基盤の衣食住‥‥第一次産業からだ。将来的に世界としても必要になるはずだ」
 UNKNOWNそう言ってカルマ・シュタット(ga6302)とエレナに視線を動かす。
「そうだな。漁業は当面の食料になるだろうし、それとできれば同時に、責任ある漁業も進めて欲しいと思う。養殖とか、そう言うことを」
 シュタットがそう言うとエレナが続いて言った。
「現状では食糧支援を受けないといけない状況ですが、農業を主産業として進めて行けば支援に頼らなくてもよくなりますし、生産量が上がれば輸出で外貨を得ることが出来るので一挙両得だと思います。エルドラドの気候だと、とうもろこし・大豆・サトウキビ・コーヒー辺りでしょうか? とうもろこし・サトウキビはバイオ燃料の材料になりますから余裕ができたらそちらの開発も産業の一つとして進めるのも良さそうですね〜」
「そうですね。農業は開拓から始める必用があるので、重機の入手と競合地域のアマゾンをどうやって越えて物資を運搬するかと言う問題点がありますが、当面の主産業としては問題ないですわね。それから、漁業はアマゾン川の安全な地域を活用するしか方法がないでしょう。養殖も後々と言うことで、代表と詳細を詰めておきます」
 イガラス監査官が言葉を止めると、今度はシェリー・ローズ(ga3501)の番だった。
「娯楽産業として、カジノを提案します。農水業は土壌や生態系保全など一朝一夕には出来ない問題が多いので、カジノで地盤を固めた上で長期的なビジョンで将来的な基幹事業取りかかるいいと思うわ。事業母体は軍の援助金と住民が金融機関から借り入れた資本を折半で設立した第3セクターで‥‥」
 そう言って具体的な案を並べるシェリーにイガラスは慌てて待ったをかけた。
「ちょっとお待ち下さい。エルドラドは隣接している国の大半が親バグア政権国家とジャングルと言う立地的な問題を抱えているので、どうやって安全を確保してエルドラドまでお客様を呼ぶかが一番の問題です。それに軍からの援助金などありませんし、UPCに加盟していないエルドラドにお金を貸す金融機関はありません」
 その言葉を聞いてシェリーは半分納得しないような様子ながらも意見を引っ込めた。
「その娯楽に関して、イガラス監査官はKVを使った娯楽施設をかんがえられたようですが、いっそのこと売却してしまってはどうでしょう?」
 アルヴァイムがそう言うとエレナとジェットも賛同した。
「灌漑等の初期費用にKVを売却して得た利益を使えばいいのではないでしょうか? あとはちょっと農業の方に話しが戻りますが、動力を蓄電池に換装した農業機械の導入とかはどうでしょう?」
「そうだな。KVは部品のメンテが金食い虫だ。どうせエルドラドとしては使わないだろうから売っ払ったほうがいい」
 次々に出る売却の意見にイガラス監査官は数秒悩んだあとで答えた。
「そうですわね。ドロームから盗まれたKVはドロームに返却、そのほかのKVの売却利益もドロームへの返済に充てるか、機体そのものをドロームへ引渡す方向になるでしょうね。これは先ほど話したドロームからの持ち逃げの件がありますので‥‥KVを使っての娯楽施設なども難しい運びになりますわね」
 それから他の意見をイガラスは求める。
「濾過装置の改良と改善、それから下水道の整備も必要だと思う。こちらでも技術や知識などを用意しているのは先ほどアルヴァイムが言っていたが‥‥人が問題か」
 シュタットが発現した。それに対してイガラスは「ええ、人が問題ですが、濾過装置の改良それは可能でしょうね。これも代表と話し合いますが、資金繰りがついたら最優先で進めることになると思いますわ」と答えた。
 とりあえず一次産業を推す声が強かったので、イガラスはユイリーに一次産業から始めることを提案しようと考えた。
「そのほかに何かありますか?」
 それに対してUNKNOWNが手を挙げる。
「取りあえず、ね。市井に、つまり市民に働きかけるのが良いように思う。UPCや傭兵ばかりを当てにするわけにも行かないだろう?」
「俺も同意見だな。最初の方で話したが、ユイリーの側近も含めて市民から参加者を募るのがいい。必用ならば、志を託されし者として俺が市民に呼びかけてもいい」
 無月が続いてそう言う。
「さて、まだまだ言いたいことはあるが時間もおしているし、こちらとしては取りあえず濾過装置の改良だけでも手がけておきたいのですがね――いかがですかね?」
 UNKNOWNの言葉に、イガラスは許可をだす。
「じゃあ、カルマは私についてきてくれ。とりあえず下調べから始めよう」
「了解した」
 そう言って二人は去っていく。
 暫くしてから、ジェットがイガラスにこう言った。
「そういえばケイ、俺と同じ出身なんだな。俺もブラジルの日系人の子供でね、同じ国で育ったやつが居ると、どこか安心しないか?」
「それもそうですわね。同じ日系ブラジル人として、仲良くしていただきたいものですわ」
 そういって微笑むとジェットも微笑みを返した。
「これの政策が成功しても、次から次へとやる事が出てくる。先はまだ長いぜ監査官」
「そうですわね。それでは私はユイリー代表に今回出た案のまとめを提出してきますわ。それから、兵士用の宿舎ですが寝る場所は用意しておきましたので、皆さまはお休みになられていてください」
 イガラス監査官はそういってプレハブ小屋を出て行く。

 ノックの音がする。
「どうぞ」
 寝室の奥から声が聞こえる。ユイリーの招きにしたがってイガラス監査官はユイリーの寝室に入っていった。
「イガラスです。能力者の皆さんの意見をまとめてまいりましたわ」
「ご苦労様です。それで、どうなりました?」
 ユイリーの言葉に、イガラスはかいつまんで説明する。憲法をはじめとした法律の制定。公務員制度。産業は一次産業を推奨。
「これは、すでに資金援助を受けている農業を優先的に行うべきであると思われます。どうですか、監査官?」
「ご明察恐れ入ります。実はわたくしもそのように提案しようとしていましたの」
 そして漁業については当面現状を維持。エルドラドの保有するすべてのKVはドロームに渡す方向で話をまとめること。上下水道の整備と濾過装置の改良――これは技術と知識を持った能力者が改良を行っていることを告げると、ユイリーは概ね頷いた。
「そうですか。飲み水がもっと安全になればいいですね」
「ええ、そう思います」
 それから、市民に積極的な政治参加を求めるように呼びかけること、また、外部から技術者や専門化を招く必要性があることを報告した。
「最後になりますが、能力者の方々から、概算で400万C前後の物資及び資金の提供を受けました。ただ、現状ではこれらの保管場所がないので、急いで倉庫を用意したいと思います。以上です」
 イガラスが言葉を止めると、ユイリーは暫く考え込む。
「取りあえず早急に必用な物から始めましょう。まずは農業と治水ですね。濾過装置の改良がうまくいくといいのですが‥‥」
「代表――ここは彼らを信頼しましょう」
「そうですね」
 その後もユイリーとイガラスは暫く会話をしていたが、ユイリーの体調が崩れかけたのでイガラスは慌てて会話を切り上げ、ユイリーに安静を求めると寝室から出て行った。そしてプレハブ小屋に戻ると、監査すべき書類の山が彼女を待っていた。
「頭が痛いわね‥‥」
 そういって彼女は一枚一枚書類に目を通していく。そうして彼女の夜は明けていくのだった‥‥