タイトル:【LP】敗残者掃討マスター:青井えう

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/12/22 15:05

●オープニング本文


 北京包囲網八門は陥落したが、その主戦力はいまだ北京の周囲に残っている。最大戦力の元承徳市駐留部隊へと、一部は合流の動きを見せていた。UPCはその動きを妨害すべく行動を開始、その一部は傭兵達へも依頼されることとなる。
「そこにドレアドルがいることを、本部は警戒しています。多数の兵を率いる事ができるタイプのバグア‥‥らしいですね」
 孫少尉が言うように、ドレアドルはバグアには珍しく用兵のできる将だった。敵にこれ以上の兵の合流を許すのは危険だ、と承徳市で正面きって戦ったツォイコフ大佐も進言しているという。かくて、傭兵達への依頼が新たに本部に並ぶ事となった。

 中国に広がる小高い丘の林に、その存在が潜んでいる事が確認された。
『どうやら敗走したワームのようですね。この付近のワームの規模から考えても数は多くありません』
 作戦を伝えるオペレーターの声がコックピットに響き、そこに着陸の衝撃が加わる。
 各員が素早く操縦桿を操ると、着陸したKV達が変形した。
『敵種別はゴーレム。むろん、無人機です』
 全機異常無し。
 銃を構え、一斉に全力射撃を掛けるKV達。小さな林の木々がなぎ倒され、次第に内側を露わにしていく。
『恐らく数でも劣っていませんが、油断しないようにして下さい。それでは――健闘を祈ります』
 ふいに林の中から光条が閃き、各機が散開した。
 一瞬静寂が走り、傭兵達は神経をすり減らしながら眼前の光景に目を凝らす。
 やがて激しい火線と光条が林の内側から再び閃き――回避行動をする傭兵達の眼前に、三体のゴーレムが姿を見せた。

●参加者一覧

榊 刑部(ga7524
20歳・♂・AA
マリオン・コーダンテ(ga8411
17歳・♀・GD
シンディ・ユーキリス(gc0229
25歳・♀・SF
ヘルヴォール・ルディア(gc3038
20歳・♀・CA
那月 ケイ(gc4469
24歳・♂・GD
ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751
18歳・♂・DF
安原 小鳥(gc4826
21歳・♀・ER
北斗 十郎(gc6339
80歳・♂・GP

●リプレイ本文

 林から出てゴーレム三体がフェザー砲を連射する。
 だが距離は遠く、傭兵達に命中するには至らなかった。
「始めっから随分な歓迎じゃないか? フ、フヒヒ‥‥。どちらにしてもお前達を生かしておく義理はボクには無い」
 変わった笑い声を上げて、ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751)はガトリング砲を装填する。
「ドレアドル――ううん、バグアは何であれあんな力を振るう限り倒す。その時の為にまず、お前らからだッ!」
 ディスタン『ウサト・アティギリアピサンテ』が大量弾幕を張り始めた。
「シンディ機、弾幕展開開始。ドゥ機と共に敵を牽制する‥‥。チリも積もれば何とやら‥‥」
 シンディ・ユーキリス(gc0229)は緊張した面持ちで電子援護と攻撃を開始する。大規模作戦以外の初依頼、初めて顔を合わせる傭兵達との共闘。
 不安と緊張の中に――心地良い高揚感があった。
「そういえば自己紹介してたっけ? アタシの名前はマリオン・コーダンテ、こないだガーディアンになったの。宜しくね〜♪」
 通信装置から軽快な声が飛ぶ。
 前進しながらショルダーキャノンを構えるディスタン。砲火の飛び交う中を、マリオン・コーダンテ(ga8411)の機体が立ち止まり――砲撃の轟音を響かせていった。

「窮鼠猫を噛むの例えもある‥少数の無人機とは言え、油断は禁物‥だね。‥手間取れば増援が来る可能性だってある」
 支援砲撃を受けながら、ヘルヴォール・ルディア(gc3038)が突進。弾幕形勢に参加する。
 両勢力の火線は拮抗して大地を抉り、林の木々をなぎ倒していく。
 その中で次々と被弾していく敵と味方。しかし敵の攻撃の手は確実に緩み始めていた。
「さて‥‥数はこちらが有利ですが、嘗めてかかれる相手ではありませんね。
 確実に墜としていく事としましょう」
 隙を突いて左翼から榊 刑部(ga7524)がアサルトフォーミュラA起動。スカイセイバー『隼鷹』の出力が跳ね上がる。
「どうぞ、挨拶代わりです‥ッ!」
 ガトリングが火を噴き、ゴーレムを穿つ。一瞬怯んだゴーレムを分断すべく更に吶喊を掛けた。
「刑部様を援護する為‥‥敵を止めて下さい、フェンリス‥ッ!」
 安原 小鳥(gc4826)が引き金を引く。敵を注視し、刑部機を狙うゴーレムを見定める。
 次の瞬間、アンジェリカ『フェンリス』はWR−01Cの銀光を――連射した。
 それからふと、小鳥は視線を流す。
「ケイさんが今回も無茶をされないと良いのですけど‥」
『‥ありがと。小鳥さんこそ気をつけてな』
「あ、‥‥は、はいっ」
 通信マイクに拾われ、思わず赤面する小鳥。
 それを見やった後で顔を上げ、那月 ケイ(gc4469)が敵を睨む。
「せっかく逃げ回ってた所悪いけど、わざわざ出向いてやったんだ。相手してもらおうじゃねーの!」
 機剣を構え、敵へ突撃するパラディン『アイアス−S』。ドゥ機とシンディ機の援護を受け、被弾に耐えながら中央のゴーレムへ。
 それと同時――右翼からも四足KVが高速で駆ける。
「手負いの者だとしても、油断せずにいかんとの。ポチ、準備は良いか!」
『ワン!』
 Mブースト発動、自機AIの返事に満足げに頷く北斗 十郎(gc6339)。
 右翼のヘルヴォール機、マリオン機の弾幕横を一駆け抜け、ワイバーンの高い機動性で一気に敵へ接敵した。
「そぅら! わしが相手じゃ!」
 十郎機の肩の砲身が火を噴く。咄嗟に回避するゴーレムを追撃する――双機槍『センチネル』。高周波ランスが敵を切り裂き、ひしゃげさせた。
 だが即座にゴーレムの反撃も始まる。吶喊してきた相手へ機剣を叩きつけ、さらに後方の傭兵各機へ熾烈な光条を撃ち放ち始めた。

「那月さんだけに負担は掛けさせない! 僕達への攻撃は通さないと言ってくれたから‥‥僕もそれに応えるんだ!」
 ドゥ機が、前衛ケイ機を援護するように対戦車砲を放つ。
 轟音が響き渡り、身体を傾けたゴーレムのすぐ横を巨大砲弾が通り過ぎた。
 ゴーレムは機盾でケイ機の剣を受け止めつつ、フェザー砲を後衛のドゥ機とシンディ機へと向ける。鋭い光条が地上に沿って奔り、二機に牙を立てた。
「くっ‥!」
 ドゥ機が被弾。シンディ機は回避オプションを起動するもかわしきれず、敵光条がその右肩を抉り取る。
 ――間髪置かず、更にもう一撃飛来した。
「旧式KVだからって‥‥舐めたら、痛い目を見るよ?」
 シンディがスキル再起動。
 スカイスクレイパー『Gale』は加速旋回、光条を紙一重でかわす。そのまま側面へ疾駆しながら、光銃を射撃。細い光線群がゴーレムへ奔り、その一つが肩へ直撃する。
「おいたはそこまでだ――!」
 ゼロ距離に居たケイ機が、ゴーレムへ熱剣を薙ぎ下ろす。ゴーレムの機盾を焼き斬り――腕部へ裂傷を創った。
 だがゴーレムもすぐに反転し、鋭い一撃を振り下ろす。
「ッ――!」
 ケイがパリング使用、咄嗟に盾で受け流して熱剣で受け止める。高い金属音と火花が散った。
 しかし衝撃を殺し切れず、ケイ機の鎖骨部の表面が砕ける。
「やらせない!」
「離れて‥‥ッ」
 即座に後方二機がゴーレムへ砲火を浴びせ、両者は距離を取った――。

「マリオン嬢ちゃん、ヘルヴォール嬢ちゃん‥‥よろしく頼むぞいッ!」
 右翼。マシンガンで敵を惹き付け、十郎が二人へと叫ぶ。
 しかしそのKVの足を光条がなぎ払った。
「むぅ‥‥!?」
 バランスを崩し倒れこむ十郎機。
 ゴーレムはそちらへ駆けながら追撃のフェザー砲を放つ。ワイバーンの腹に光条が直撃、装甲を溶解させた。
「くぅ‥‥堪えるわい」
 十郎は思わずボヤき、計器類の異常を渋い顔で眺める。
 さらに追撃をかけようとしたゴーレムは、しかしふいの被弾によろけた。
「ほらほら、余所見してる余裕はないわよ♪」
 追撃で動きが単調になった所を、すかさずマリオン機が狙い撃ちしていた。
 さらなる命中を狙って撃ち放つキャノン。だがニ撃目からはゴーレムも認識し、攻撃を回避していく。
「‥‥アサルトフォーミュラ起動。この一撃‥叩き込む」
 だが死角からふいに接敵を掛ける赤い機体。
 ゴーレムが振り返った時には――ヘルヴォール機『テュルフィング』が、光り放つ機剣を振り上げていた。
「く‥‥!」
 だがヘルヴォール機の振り下ろす一撃は、ゴーレムの機盾に遮られた。
 そのまま敵は地を蹴って鋭い機剣を振るった。
 直後――ヘルヴォールの耳を叩くアラート。機体の肩に出来た生々しい傷痕が火花を上げる。
 それでもゴーレムは追撃を止めない。
 ヘルヴォール機の頭部へフェザー砲を突きつけて――。
「――ほれほれ、後ろががら空きじゃぞッ!」
 前方へ揺らぐゴーレム。
 その背中に、双機槍『センチネル』が突き刺さっていた。
 立ち直った十郎機は更に二度双機槍を振るい、ゴーレムの装甲を切り裂く。
「畳み掛けるわよ!」
 マリオン機が80発の弾丸を敵へ撃ち込んで駆け始める。
 ゴーレムは弾幕に直撃、膝を突いた。
 だがその状態から砲を上げ、接近するマリオン機へ光条を放つ。被弾し、焼き溶けるディスタン装甲。
 さらにヘルヴォール機へも機剣を振り下ろす。
 被撃――衝撃に揺れるヘルヴォール。だが彼女はスキル起動、機体の拳を敵の胸へと叩きつけた。
「ガトリング、ナックルッ!」
 30発の弾丸が――ゴーレムの胸を抉り穿つ。
 直後、ゴーレム出力低下。
 後ろへよろめいた人型ワームは小爆発を起こし――その場に崩れ落ちた。

「セイッ――!」
 左翼で、刑部機が真ツインブレイドで敵を切り払う。
 ゴーレムは盾を構えて辛うじて捌くと、相手の二合目が来る前に機剣を突き出す。
 脇腹を狙った一撃は――しかし硬い鋼鉄にぶつかり、僅かに貫通する。
 刑部機の機盾『レグルス』が攻撃を受け止めていた。
 しかしゴーレムは機剣から手を離す。代わり、ゴーレムはフェザー砲を盾に押し付けて連射した。
「刑部様‥‥! ‥‥フェンリス、必ず当てて下さい‥ッ!」
 小鳥機が展開するG−193砲身。標的を指示し、機体AIが照準を補佐する。
 その細い指が、トリガーを絞った。
 空気を焦がして迸る火線は――しかし、咄嗟に飛び退いたゴーレムの鼻先を掠めるだけ。むしろ逆に、フェザー砲撃を小鳥機へ放つ。
「キャッ――!?」
 温度上昇、被弾警報に身をすくめる小鳥。
「そろそろ終わりにさせて頂きましょう‥‥」
 だがふいに刑部機が双剣を握り締めて機動する。
 振り向いたゴーレムは咄嗟に盾を構えた。だが構わず刑部機『隼鷹』が跳ぶ。
 刑部はアサルトフォーミュラ起動――機体が唸る。
「‥‥そこですッ!」
 全体重を掛けたスカイセイバーが、ゴーレムを双剣で貫いた。
 穿たれたゴーレムから噴出する黒い液体。
 機動が鈍った相手へ、さらに小鳥機がレーザー砲を構えている。
「次は外しません‥!」
 構え、撃ち放ったアンジェリカの砲撃。
 ゴーレムはそれに直撃、頭部溶解。センサーが全滅した。
 小鳥はゴーレムが倒れるのを確認して安堵の息を吐き――しかし不意に、ロックオンアラートがその意識を切り裂いた。

「増援‥‥!? ゴーレム二機‥‥っ」
 中央班のシンディが全機へ通達する。
 だがレーダー上に突如現れた光点は思いのほか近い。戦場の丘の下、レーダーの死角に居たのだろう。
 直後、ゴーレムの弾幕がKV達へ熾烈に牙を剥いた。シンディ機、マリオン機、ヘルヴォール機、小鳥機が光条被弾。大破目前の機体が出始める。
「おいおい、冗談にならないな‥! まだこっち片付いて無いってのに‥‥ッ!」
 ケイが苦笑し、ゴーレムと鍔迫り合いしながらジリジリと後方へ下がっていく。敵は損耗しているが、自分も同様だ。
 そんな彼へ――新手のゴーレムは機剣を構えて疾駆する。
「‥こっちが相手だ!!」
 だが危機一髪、ゴーレム側面に135mm弾が炸裂。
 敵が振り向いた先、ドゥ機が仁王立ちで敵へ弾幕を展開していた。
「増援に対処した方が良いかは――ううん、しなきゃいけない。やってやるんだ‥‥!」
 ドゥは前衛のケイ機、電子援護するシンディ機を守る為に自分を囮にした。スキルを発動したディスタンが、ガトリングで弾幕を張る。
 だがゴーレムは回避してドゥ機へ急速接近――機剣をその胸へ刺突した。
「ッ――!」
 ドゥ機に深々と突き立つ刃。警告音の中で敵のニ撃目、三撃目がその瞳に映る。
 咄嗟にドゥ機は機盾で追撃を緩和した。だが装甲を砕く金属音は不快に耳を叩く。
「仲間は、やらせないよっ‥‥!」
 シンディ機が後方から撃ち放つリボルバー。宙を貫く火線が二機を強引に引き離した。

 直後――ゴーレムへ一斉に火線が叩き込まれる。
「ほっほ、どうじゃ? わしの鉛弾の味は!」
 応援に駆けつけたC班、十郎機の弾幕。
 さらに、ケイ機と交戦するゴーレムも熱線に貫かれる。
「損傷が酷くて‥‥援護しか出来無いけど‥!」
 膝撃ちの姿勢で、黒煙を上げるヘルヴォール機が砲を構えていた。
「十分さ‥‥!」
 ケイは微笑し、システム・ニーベルング起動。近域の友軍機の動きを効率化させる。
 ヘルヴォール機の命中精度が上がり、ゴーレムはレーザー砲に連続被弾。体勢を崩した。
「さぁ、そろそろ落ちるんだな――ッ」
 苦し紛れに振り上げたゴーレムの機剣をパリングで弾き、銃弾を二度撃ち込む。思わずくの字に折れ曲がったゴーレムの背中へ、ケイ機は熱剣を突き立てた。
 刃は胸を貫通し、ゴーレムは一度大きく反り上がった後――機能停止。
 崩れ落ちた。

『ゴーレム撃破!』
 その通信を聞きながら、しかし小鳥は返答する余裕も無く操縦桿を動かしていた。
 新手のゴーレムが繰り出す機剣を、どうにかWR−01Cの砲身で受け止める。だがそれだけでは捌き切れない斬撃が二度、三度と小鳥機の装甲を抉った。
「このまま‥‥やられる訳には、いきません‥! 行きますよ、フェンリス!」
 だが防戦一手だった小鳥機がSESエンハンサー起動、腕の金属柄を握り締める。
 輝きと共に放出される超圧縮レーザー。青龍刀のように太い練剣「羅真人」の斬撃が迸った。
 強烈な一撃にゴーレムの体躯が焼き焦げる。火花を上げるゴーレムへ、さらにG−193をニ連射した。
 しかし敵は一歩後ろに足を付いて踏み止まり、再び小鳥機を睨む。
 だがその瞬間――更に鋭い熱線がゴーレムを穿った。
「お待たせしました。さぁ、私がお相手しましょう!」
 砲を上げ、一直線に吶喊する刑部機。数秒で距離を詰めて双剣を振り抜く。
 被撃、よろめくゴーレム。だが刺さった刃を機剣で払いのけ、戦闘を継続する。
 対応する刑部機はアサルトA起動。振り下ろされた一撃を避け、双剣を斬り付けた。
「ここが貴方の――墓場です!」
 ゴーレムが振り下ろす斬撃を、あえて避けずに機盾で受け止める刑部機。衝撃が全身を走る代わりに――硬直した敵へ、双剣の連撃を振り抜いた。
 背中まで突き刺さり仰け反るゴーレム。
 ――そこへ熱線の嵐が叩き込まれる。
 小鳥機が放つ弾幕光条。
 それが完全なトドメとなり――ゴーレム大破、爆炎を噴き上げた。

 最後のゴーレムを、KV三機が包囲していた。
「ほら、こっちじゃこっちじゃ!」
 十郎機のマシンガンが火を噴く。銃弾がゴーレムの体表で爆ぜた直後――。
「‥‥ねえ、いずれは直に会える? フヒヒ、待ち遠しいよ‥親愛なるバグア共――!!」
 さらにドゥが別の敵を眼前に投影してトリガーを引く。対戦車砲が火を噴き直撃、ゴーレムの損傷率が上がっていく。
「さぁ、最後は派手に行くわよ――!!」
 キャノン砲撃の轟音と共に、マリオン機が駆け出す。それを避けて振り向いたゴーレムは、接近する機へ砲を向けた。
 だがフェザー砲の照準は――吶喊を援護する他KVによって揺らぐ。地を溶かし、空を貫きながら‥‥しかしマリオン機には当たらない。
 みるみる距離は埋まり、目と鼻の先で放ったゴーレムの砲撃がディスタンの頭部を掠める。
 だがそれに怯む事無く、マリオン機は懐へ駆け抜けた。
「いっけぇッ!!」
 背中から抜き放ち、振り上げる光斧。
 それをゴーレムに叩きつけると――鎖骨部分に刃はめり込んだ。
 だが膝を付きながらゴーレムは辛うじて堪え、機剣を振る。それに被撃し、後ろへ跳んで距離を取るマリオン機。
 直後。
 ゴーレムへ他のKVによる一斉砲火が叩き込まれる。
 そしてもう一度、振り下ろされたマリオン機の光斧で――ゴーレムは真っ二つに両断。直後、爆炎を噴き上げた。

『‥お疲れ様です。今回の戦闘で確実に敵戦力を減らす事が出来ました』
 帰還途中、オペレーターから通信が入る。
 任務を終えた傭兵達はその言葉で緊張の糸が切れ、達成感と疲労感が同時に襲った。
「大規模作戦は始まったばかり‥‥でもとりあえずは、これでまた次の作戦に進める事を喜ぼうか‥」
 ヘルヴォールが微笑を浮かべる。
 これから激化するだろう、大規模作戦。

 今回の任務はそれに対応する為のステップアップとして――彼らに経験と自信をもたらしたのだった。