タイトル:お子様たちのキラキラマスター:玲梛夜

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2007/12/18 23:12

●オープニング本文


 UPCオペレーターのバルトレッド・ケイオン(gz0015)は今日は仕事休みだった。
 だがしかし、彼は今UPC本部にいた。
 暇そうな傭兵を捕まえるために。
「傭兵さんに、会いたい‥‥と、言っている子供たちがいるんだが‥‥」
 半ば苦笑まじりに、彼は言った。
 能力者のおにーちゃんおねーちゃんカッコイイ! と、自分たちのさまざまな活躍を聞いて瞳をキラキラさせる子供たちを想像してみよう。
 かわいいではないか。
「もし、暇ならその子たちにあってくれないか。日頃どういうことをしてるんだとか、そういうレベルの話でいいと思う。自分もなりたいと思っている子たちもいると思うんだがこれは適正がないと‥‥如何ともしがたい」
 バルトレッドによると、それはとある街の小学校。
 つい先日も、傭兵たちがその街付近でキメラを退治したという話がある。
 子供たちにとっては、正義の味方なのだ。
「傭兵さんに会いたい、という気持ちがいっぱい詰まった手紙を無碍にもできない。かといって、依頼として願うものでもない‥‥善意の、ということになってしまうがそれでよければお願いしたい。子供たちと遊ぶことも気分転換になるだろう」
 たまには気持ちを切り替えるイベントも必要だろう。
「ああ、でも一つ約束してほしい。ないとは思うが、そこで喧嘩したり暴れたりは、無しでよろしく。KVも無し。場所は学校だから近所の人が何事かとぎょっとしてしまうだろう」
 とくに断る理由のない傭兵達は、今からその場所へと向かうのだった。
「あ、子供たちって変な呼び名付けるの好きなんだ‥‥戦った話とかして、変な称号つけられたら諦めてくれ‥‥」
 バルトレッドはそういえば、と言うようにそう付け足し、傭兵達をその学校へと案内する。

●参加者一覧

相麻 了(ga0224
17歳・♂・DG
フェブ・ル・アール(ga0655
26歳・♀・FT
七瀬 帝(ga0719
22歳・♂・SN
愛紗・ブランネル(ga1001
13歳・♀・GP
アイロン・ブラッドリィ(ga1067
30歳・♀・ER
蒼羅 玲(ga1092
18歳・♀・FT
シャロン・エイヴァリー(ga1843
23歳・♀・AA
レーゲン・シュナイダー(ga4458
25歳・♀・ST
Laura(ga4643
23歳・♀・BM
緑川安則(ga4773
27歳・♂・BM

●リプレイ本文

●天真爛漫お子様たち
 今は授業中か、校庭には人はいない。
 だが、すぐに賑やかになる。
「わあああ! ほんとに来てくれたー!」
 興奮して大混乱。
 落ち着きなさいと言っても小学校低学年。
 簡単に落ち着くわけもない。
 無邪気なその視線はキラキラだった。そしてそれに負けじと、キラキラなのが七瀬 帝(ga0719)。
「はーーはっはっはっはっは! この僕の美しさでキメラをも逃げ出す、と評判の美形スナイパー、七瀬 帝だよ」
「スナイパー!」
「びけいってなにー?」
「美形って言うのはこの僕のような」
「長くなりそうだからそれは中で! もうちょっとあったかいところで!」
 寒空の下もなんだし、という体育館に移動できないかなというシャロン・エイヴァリー(ga1843)の提案に大騒ぎのまま、移動。
 そして場所を変えて改めて。
「まず自己紹介をしよう。はい」
 お任せしますとマイクをフェブ・ル・アール(ga0655)へと、バルトレッドは渡す。
 マイクを握り、キラリと表情が輝く。
「良い子の皆、待たせたな!」
 ビシっと音がしそうなほどに鋭い敬礼!
「MCの了おにーさんと「戦争の猫」フェブおねーさんだよー♪」
 と、フェブが言うと同時にしゅたたたっと体育館舞台袖からアクロバティックに登場したのは相麻 了(ga0224)。
「オッスみんな! 俺はジョーカー、宜しくな」
 自分の愛称を告げて快活と。
「これから傭兵芸人のお兄さん達のお芝居が始まるんだけれど、その前に一度手を挙げて背伸びしてみよっか」
 今にもまた騒ぎそうな子供たちに先手、背伸びをぐぐっとさせて、落ち着かせる。
「じゃ、お兄さん達に熱い応援とブーイング宜しくね!」
 そして、こっちこっちとほかの傭兵たちを呼ぶ。
「ふふ、そのキラキラとした純粋な瞳‥‥美しい‥‥実に美しい。更に僕‥‥じゃなくて、能力者を応援していただきたいものだね」
 帝は再びのキラキラ視線に歯をキラリ。
「そして輝く笑顔の子供達よ! 今日一日、よろしく頼むね」
 アイロン・ブラッドリィ(ga1067)は丁寧に一礼。心の中で子供たちが能力者を良い方向に思っていてほしいと思いながら。
「こんにちはっ。私はシャロン、シャロンお姉さんって呼んでね」
 シャロンは手を振りつつ、子供たちに言葉を送る。
「私はアイロン・ブラッドリィと申します。よろしくお願いしますね」
 この目の前にいる子供たちと同年代、に見える蒼羅 玲(ga1092)も笑顔を浮かべて挨拶をする。
 そして本当に同年代の愛紗・ブランネル(ga1001)は抱えたヌイグルミのはっちーもよろしくー! と元気よく言う。
 レーゲン・シュナイダー(ga4458)は部屋に篭ってばかりでは体にもよくないし、それに自分のする話で子供たちが楽しめるなら、と表情を緩めた。
「覚醒してしまうと姿が完全に変わってしまいますからこれで許してくださいね」
 Laura(ga4643)はその背に作り物の羽根を持って、登場。
 そして最後に緑川安則(ga4773)。
「傭兵でビーストマンの緑川安則だ。よろしくだぜ!」
 こうして一日が、はじまった。

●ドキドキ質問タイム!
「はい! 好きな食べ物嫌いな食べ物はありますかっ!」
「好き嫌いはダメ!」
 フェブはびしっと言い切る。
「戦場では食べ物に文句を言ってられないんだぞー。ちゃんと何でも食べられるようにしとけよー」
「はーい。椎茸以外食べる!」
 椎茸も必ず食べるっ、とフェブはわかったかー、ともう一度。
「はいはい! 皆は何をしてるんですかっ!」
 何を、というのはどんな役割をそれぞれはしているのか、とゆうことだと聞いていくとやがてわかった。
「お姉さんは、ファイター。フェブお姉さんや玲お姉さんもファイター」
 ファイターって何? とゆう表情が向けられ、シャロンはそれをみて続ける。
「ファイターっていうのは怪物に近い場所から攻撃するのが得意な人よ」
「私は闘う事が苦手なので、頑張って闘う皆さんのお手伝いを主にさせて貰っているのですよ〜。戦闘機の怪我を治したり強くしたりするのです〜」
 機械のお医者さんや看護婦さんみたいなのですね、とレーゲンの言葉におぁーと声が漏れた。
「科学の力で皆を救うサイエンティストだな。剣や槍を手にとって戦うファイター、銃を使うスナイパー」
 僕の事だね、と帝はキラリ。
「コブシで殴るグラップラー、そして動物の力で変身するビーストマン。皆が好きなゲームなら僧侶、戦士、弓使い、格闘家、モンスターってところかな?」
 安則の説明に子供達はよくわかったと元気に返事。
「さてさて次は何かにゃー?」
「一人で戦うんですか?」
 ぽんと出た質問。
「ひとりじゃ怪物には勝てないの」
「それぞれの役割あってこそかな」
「戦場では仲間を助けるヤツが生き残るんだぞー。ちゃんと友達作っておけよー」
「皆も勉強が得意な子、体育が好きな子、何でも残さず食べられる子、色んな子がいると思うけど、皆も仲間なんだから仲良くしてね」
「お父さんお母さんの言う事も聞くんだぞー! 自分勝手はダメ、歯磨きとかしろよー」
 はーい、と大きな声。
 輝きに満ちた視線が曇る事なくあればと誰もが思った。

●それぞれのフリータイム
 そしてランチタイム。
 皆で円を作り体育館で。
 そこにはまた色んなものが並ぶ。
「まだまだありますし、取り合いはなさらぬように」
 アイロンが微笑みつつも窘める表情向けると取り合いをしそうだった子供たちは大人しくなる。
「お料理は私が作ると消し炭になってしまうので‥‥ココアと緑茶をどうぞ」
 温まりますよ、とLauraは回りにいた子供達へと渡す。
 この賑やかな空間、色んな子がいるものだ。 積極的な子もいれば混ざり切れない子もいる。
「俺‥‥あぶれちゃって‥‥よかったら一緒にいてもいいかな?」
 了が言えば頷きが。
「俺、皆ほど器用じゃなくってね」
 日々の事や失敗談を了は話し、緊張を解いてゆく。
「俺は決して英雄なんかじゃない、ただのイケメン少年‥‥ってソコ笑う所じゃないってばよぉ!」
 くすっと漏れた笑いに了はまた笑い返す。
 いつのまにか他の子もやってきて、馴染めずにいた少女に笑顔が溢れてきた。
 早々にランチが終わったならばフリータイム。
 そしてランチの後にはお菓子がそこに。
「久しぶりにお菓子作りに精を出してみたよ。食べながら話しやすいかな、と思ってね」
 帝がさっと出したのはアメリカンドーナツ。それにはチョコレートがかかっていたりするものも。
「おや、口の周りが‥‥はい、これでよし」
「ありがとう! また後でふいてね!」
 口の端にチョコレートをつけていた子。それをハンカチで拭うと明るい笑顔と、一言。
 帝はそれに笑って頷く。
「お兄さんはいつも何をしてるの?」
「僕の話が聞きたいのかい? そうだね、まずは鏡で自分の姿を見、自分の美しさ、健康状態をチェックする」
「チェック!」
「町を颯爽と歩き、僕の美しさを皆に見せる」
「お散歩!」
「勿論、キメラとも戦うよ。今は持ってないけど、僕の武器は銃。以前はレイピアを持っていたんだが、僕があまりにも美しいから前線にいると目立ってしまってね。ふふ」
「おおー! でも銃でもきっとキラキラなんだろうね!」
 それはモチのロンで、美しいからね! と帝は笑顔だ。
「おいしい!」
「うん、おいしい」
 と、愛紗とバルトレッドは並んでそこに並ぶお菓子を一緒に食べていた。
「こっちにスコーンもあるわよ。甘さが足りない子は蜂蜜とかジャムを‥‥ってバルトレッドさん子供が先でしょ!」
「あだっ」
 スパーンと良い音。どこからともなく出てきたハリセンの一閃。
「いっぱいあるからいいかなぁって」
「パンダクッキーあげるから我慢ね! 皆にも!」
 愛紗のパンダクッキーが登場。可愛らしいそれをありがとーと皆が食べてゆく。
「? 何かな?」
「おにーちゃんはなんでいるの?」
「ああ、僕? 僕はね」
「この人はねー。私たちに指示を出す、偉い人ですっ!」
「バルトレッドお兄ちゃんはレッド。うん、バトルレッド。真っ赤に萌える情熱を秘めた甘党リーダーで決まり☆」
 リーダー! と子供たちから声があがる。そこへシャロンがまた付け足しを。
「この人がいないと、私たちは怪物と戦うこともできない‥‥すごい人なのよっ」
 と、盛り上がる傍ら。
 こちらではレーゲンがミニ模型を取り出していた。
「てってれー☆ こういうのを作るお手伝いをしているのですよー。あ、ちなみにこっちがゲルハルトで、こっちがハインリヒって云うのです」
 とりだしたのはKVの模型。自作のR‐01とS‐01だった。
「時間がなくて細かいところまでは作れなかったけど、でもちゃんと変形もするのです。壊さないようにそーっと触ってね?」
 しゃきーんと変形させて床におく。すると寝転がった状態で、模型が好きな子供たちがじーっと見始める。
 その様子を見ながらレーゲンは持参した紅茶クッキーとハニークッキーを食べる。仕事中にいつも食べているクッキーは超甘で、これを食べた子供たちはあとで甘すぎ‥‥と呟きを漏らすことに、なる。
 そして、リズムがトントンと楽しげなグループも。
 覚醒したアイロン。アイロンの銀の髪が少しずつ束になってトントンと体の一部は床を叩き、音を刻んでゆく。
 そのリズムは気持ちに合わせて、とても楽しげに。
「この子は特に、撫でてあげると喜ぶんです。あ、あまり引っ張っては可哀相ですよ?」
 触ってもいい? と聞かれ笑顔で答える。くいくいと引っ張られる感じに苦笑しつつ、アイロンはそれを受け入れる。
 そのうち、子供たちの手と合わせてリズムを取り出し、歌も、流れてゆく。
「どうしましょう? 歌うとお仕事になってしまいますし‥‥」
 と、聞こえてきた歌にうずうずしつつもLauraは何を話そうかと考える。
「おねーちゃんは僕たちとどこが違うの?」
「違い? 能力者と普通の人の違いって、ほんのちょっとだと思います。エミタという機械が、着いているか着いていないかの違いで‥‥エミタがあるから不思議な力が使えますが、皆がバグアやキメラに『負けない』って思う気持ちと同じ気持ちがあるから、私は戦えるのだと思います」
「負けないよー! だからおねーちゃんも負けないでね!」
 応援の言葉に、はい、と笑顔を向ける。
 と、良い雰囲気のその時に。
 ぶわぁさっ! とLauraのスカートをめくり上げる影。
 どこにでも、イタズラっこはいるわけで。
「いいかげんにせんか、コラ!」
 思わず声たてて怒るLaura。だがそれをへらりとかわすイタズラっこ。追いかけっこの始まりだ。
「キメラとか怖くないの?」
「怖いですよ。けど、戦わないと皆とこうして遊べる所がなくなっちゃうから」
 遊びつつ、子供たちの疑問に答えていたのは玲。
 頬笑みを浮かべて、答える。
 子供たちは玲にありがとう! と声を揃えたのだった。
 そしてもっと詳しく能力者について聞きたいという子たちが安則の元に集まっていた。
「能力者になるにはどうしたらいいんですか!」
「能力者になれるのは今のところ、千人に1人だと言われているね。エミタを埋め込むとき、身体に合わないと死んじゃうこともあるんだ。だからみんなも能力者になりたい! と思っていても簡単になれないんだよ」
「えー」
「でも強くなりたいなら努力することはできるね」
 これは能力者になれるかどうかは、自分で決められるものではないが強くなりたいのなら体と心を鍛えることができると安則は言う。
「私はビーストマンだが‥‥これは私の覚醒状態、つまり変身した姿だよ」
 一枚の写真を。
 その写真には顔は東洋の龍を思わせる形へとかわり、全身は龍の鱗で覆われ、尻尾を生やした、リザードマンのような雰囲気の者が写っていた。
「‥‥本当におにーちゃん?」
「本当に」
「見たい!」
「見たい!!」
「‥‥うーん‥‥」
 自分が覚醒するとなると性格と口調がより過激で攻撃的になってしまう。
 どうしたらいいか、と子供たちの担任に聞けば少しだけなら、ということになり。
「龍人招来! 緑川安則、参上だ!」
 わーっとその姿に子供たちは喜ぶ。
 そして、この体育館で一番騒いでいるのはと言うと。
「にゃはははは! ほらほら恥ずかしがるなー! おねーさんが抱っこしちゃるぞー! 愛紗、一緒にいこーぜー♪」
「えーい! こう‥‥ダイレクトアターック! 傭兵戦隊バトルンジャー!」
 愛紗は遊ぼう! とバルトレッドに突撃。
「皆も! 愛紗楽しいの大好き!」
 同い年位の子供たち、愛紗はにこにこだ。
「愛紗ちゃんのパパはどんな人ー?」
 ふっと問われたことに愛紗は一度瞳をぱちり。
「愛紗の実のダディは行方不明なの‥‥でももう一人のダディがいるから寂しくないよ」
 笑顔は変わらず、反対に皆の家族ってどんな人! と聞き返す。
 他愛のない話や、もっと聞きたいこと、そして遊んだりとそれぞれ楽しみながら時間は過ぎてゆく。

●楽しい時間はあっという間
 名残惜しくもお別れ。
 まだいてー! という子供たちに、仕事があるしまた会えると言って、別れを告げる。
「ありがとー!」
「がんばってねー!」
「毎日歯磨きするー!」
「また来てねー!」
「おっきくなったら俺もキラキラするー!」
「にゃんこがんばれー!」
「にーちゃ、ねーちゃありがとー!」
 その声に、また頑張らなければとも思う。
 了は一番長くいた少女とある約束をし、別れる。
 学校から出て少し歩いて、ふとアイロンは気がつく。
「そういえば‥‥小学生低学年くらい、となれば、まだバグアの居ない頃の世界、と言うものを知らない世代なんですね‥‥愛紗さんも」
 なんとしても終わらせねば、と強い決意をアイロンは胸に抱く。
「今はこんなご時世だから、私たち能力者のお話で、小さい子に少しでも夢を与えられたらと思ってましたが、最後に良い笑顔で送ってくれたからきっと今日ここへきてとてもよかったですね」
「まー、ガッコの先生みたいなつまんない話だったかもだけどなー。あの子らが能力者になれる頃には、私たちが戦争を終わらせてるさ。だから、あの子らは能力者ではなく、正しい大人になるべきなんだ」
 自分たちが話したことがそのうち意味を持つかもしれないし、そうならないかもしれない。
 でもあの子たちの未来のために惜しみなく力を注ごうと、思える。
「皆さん、本当に今日はありがとう。また‥‥こうゆう機会があればよろしくお願いします」
 今日のこの話をもってきたバルトレッドは言って、明日からまた頑張りましょうと告げた。
「出来ることならば、君達が能力者になることのない平和な世界を」
 帝は呟いて、まだ見送る子供たちに笑顔を向け手を振った。
 出会ったあの子たちのためにも。