タイトル:ミニタコの海岸マスター:玲梛夜

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/02/27 00:08

●オープニング本文


 たこたこにゅーにゅー!
 ここはとある海岸。
 海岸の一部を埋め尽くす、タコタコタコ。
 タコタコタコタコ(以下略)。
 小さくてもキメラはキメラ。
 おいしくてもキメラ。(現地のおっさんが食べて、多少筋張っていたが、超絶うまかったらしい。)
 退治すべき対象なのだ。

「タコー! タッコー!! タコ狩りだー!!! あっはははは!!!」
 美味しいタコキメラがいる、その噂を聞きつけ刀片手に、薬袋音はやる気満々。
「タコ焼きー、輪切りにして煮込んでもおいしいかなぁー。ちっちゃいからおでんとかにもいいかなー」
 じゅる、とおいしい未来を想像しつつ、傭兵たちはタコキメラへと向かう。
 その後ろで。
「がんばれー! がんばって美味タコをー!」
「待ってるからねー!」
「終わったら暖かい温泉が待ってるよー!」
「タコ焼き作ってあげるよー!!」
 地元住民が応援していた。
 その瞳は美味なものー!!! とある種ギラギラしていた。
 一時でもこのタコで街を活性化しようと、捕獲したタコ退治終了祭なるものもすでに企画されていた。
 住民ズは笑顔で、タコを待っている。

●参加者一覧

神無月 紫翠(ga0243
25歳・♂・SN
藤枝 真一(ga0779
21歳・♂・ER
セラ・インフィールド(ga1889
23歳・♂・AA
エマ・フリーデン(ga3078
23歳・♀・ER
蓮沼千影(ga4090
28歳・♂・FT
MAKOTO(ga4693
20歳・♀・AA
天城 彦(ga6669
20歳・♂・FT
アダム・S・ワーナー(ga6707
27歳・♂・GP

●リプレイ本文

●激しい戦い(?)の、始まりで、終わり
 ギャラリー多い海岸。
 そこでは今から、地元民に応援されみま揉まれ、傭兵たちが戦いに出るところだった。
「よ〜しっ! タッコ殴りじゃぁ〜」
 海岸の一部を埋め尽くすタコキメラをみて天城 彦(ga6669)は覚醒する。
 爪と髪を赤く染め、キメラたちの中へ。
 アダム・S・ワーナー(ga6707)は装備したベルニクスでちくちくと片づけていく。
「薬袋様も、面倒でしょうがご協力お願いします‥‥バーベキューとお祭りが待っておりますよ?」
「そだね、がんばろう!」
 と、傭兵達はタコキメラと向き合う。
 向き合うこと、数時間。
 海岸を埋め尽くしていたタコキメラたちは、今はもう残り少なくなっていた。
 ほとんどのタコキメラは山積みにされて網の下。
「あと少し、ですね」
 飛びかかってきたタコキメラをメタルナックルでぱこっと叩きながら朧 幸乃(ga3078)はあたりを見回す。
 セラ・インフィールド(ga1889)はゴーグルとバックラーでスミ攻撃を防ぎつつレイピアで突き刺し袋の中へ。
「こんなにビッシリとタコ‥‥壮観だな‥‥」
 いっぱいなった袋をみて蓮沼千影(ga4090)は呟く。
「タコ退治して遊ぶ! 遊ぶ!」
 気合十分、MAKOTO(ga4693)もざっくざっくという雰囲気でタコキメラを退治。
 神無月 紫翠(ga0243)は散弾銃で攻撃したタコキメラたちを集めて一息ついていた。
 そしてその時はやってくる。
 最後のタコをぶっすりとロングスピアに突き刺し掲げる藤枝 真一(ga0779)。
「タコとったどーーー!!」
 高らかに終了の声も重なる。
 タコ退治、無事に終了。
 さて楽しい時間の始まり始まり。

●バーバキュー!
 タコキメラ退治終了後、勢い余ってふんどしで海へと叫びながら向かう真一。
 肉体派な科学者は、そのままバーベキューの具材を海へと狩りにはいっていた。
 タコキメラの味見も兼ねてのバーベキュー。
 けれどもまだそれまで時間がある。
 MAKOTOは先取り寒中水泳大会! と海の中へばしゃばしゃとはいっていく。
「動きを止めたらつられて心臓まで止まりかねない!! 泳ぐ! 泳ぐ!! 泳ぐ!!!」
 ばっしゃばっしゃと泳ぎ続けて待ち遠しい夏を先取り。
「おぉ〜い、炭はここでいいのかぁ?」
「ばっちりですね」
 彦は炭を運びセット完了。そこへ火がともされる。
 そして焚き火がたかれバーベキュー準備完了。
「冬の海というのも、なかなか趣きがありますね」
 アダムは準備をしながら元気に海で泳いだり、狩りを行っているものたちをみて微笑む。
 そして海から上がってきたMAKOTOへとバスタオルを。
 そしてすでに一品、セラの煮ダコが出来上がっていた。
 ほこほこゆげたててるタコ足一口、味見とセラはぱくり。
「‥‥おいしい‥‥」
 じんわり笑顔がこぼれてくる。
「あっ! 一人ずるい!」
「あったかそうなもの食べてるわね‥‥」
「あ、食べますか?」
 と、言い終わるか言い終わらないうちに、MAKOTOと音は食べるー! と飛びつく。
 ぱちぱちはぜる焚き火にあたりながら食べる暖かいものは絶品。
 さらに香ばしいにおいもしてくる。
 バーベキューであぶられた食材の香りだ。
 紫翠は手際よく作っていき、どんどん出来上がってゆく。
「ほら、どんどん焼けてるぞ。たんと食えー!」
 千影もバーベキュー奉行っぷりを発揮中。
「お、焼いて、醤油かけると美味いな」
 焼き上がったばかりのタコを食べて表情を緩める。
「ほら、幸乃ちゃんも食べるといいよ」
「ありがとうございます」
 あたりは少しくらくなり、明かりが少したりないかなとランタンをつけていた幸乃へと千影は差し出す。
 一口食べて、おいしいと声が漏れる。
「あっ! それ私のなのに!」
「弱肉強食!!」
「お疲れさまぁ、俺の初任務も無事終了ってねぇ〜。あ、こっち焼けてるよ?」
 ありがとう! とバーベキューの網の上は私の庭、となりはてている二人は彦の言葉に箸を向ける。
「あ、食べなよーおいしいよー食べちゃうよー」
「早い、もっとタコをもてー!」
「これだけの勢いだとつくりがいもありますねぇ」
 需要と供給、確実に需要が優っている中で、バーベキューは続いて行く。
「この海に獲物はいなかった‥‥」
 と、海からざばざば、帰ってきた真一は焚き火の近くへとゆく。
「あれだけタコがいたから海の幸も逃げちゃってたのかもねー」
「かもしれないなぁ。ほら、そこ野菜も食べる」
「肉食獣のビーストマンは動物性蛋白質を主に摂取しないといけないの」
「あっ! それ私の!」
「くっくっく、油断は香ばしい死の香りを誘うんだよ!」
 にぎやかに、海岸での時間は過ぎてゆく。

●やっぱりこれですよね
 バーベキューの後は旅館についている露天風呂にという流れに。
 露天風呂、男湯と女湯の間には竹を組んでつくられた仕切り。
「わー御風呂ひろーい!」
「ゆっくり、できそうですね‥‥」
 女湯からの声に耳はおっきくなるわけで。
「向こうは向こうで楽しそうだなぁ」
「ふう‥‥落ち着きますが‥‥やっぱり‥‥眼鏡外すと見えませんねえ‥‥」
 紫翠は苦笑しつつ徳利を手に取る。紫翠のその背には薄く傷跡があった。
「お酒‥‥お注ぎしましょうか?」
「お、ありがとな」
「‥‥実はこれ、夢だったのですよ」
 冷酒と猪口の載った盆を浮かべて月見酒。
 男性年長組は湯につかりつつ酒を飲みつつ、大人の色気をそこにかもしだしていた。
 アダムはちょん、と盆をつついてそのお盆を紫翠の方へと動かす。
「それにしても‥‥やんちゃだなぁ‥‥あった、あんな頃俺にもあった‥‥」
 混浴にはしゃぐ若い時期もあったと思いだしつつ、今なら愛しい人とがいいと千影は瞳閉じ、瞼の裏にその姿を浮かべて頬を緩ませる。
 千影の言う、やんちゃな男性陣は。
「男には‥‥超えなければならない壁がある。 止めるなセラっ‥‥! 行かなくちゃ、いけないんだ」
「え、やめましょう、やめましょうよ」
「しっ! 静かにしろぉ。大丈夫、あんたにもちゃ〜んと見せてあげるからぁ」
 女湯との境に桶でピラミッドを製作中。
 やることといったら一つしかない。
 そう、覗きだ。
 その頃女湯はというと、もちろん隣の異変を感じていた。
 というかもう予想済み。
 MAKOTOは作法にのっとり一通り終え温泉へと使っていた。
「あー‥‥お酒がおいしい‥‥」
「そうですね‥‥なにやらあちらが騒がしいようですが‥‥」
「‥‥そろそろ来るころかな」
「桶の準備はばっちり!」
 と、湯船の周りには桶。
 すでに何か起こることは、予想済みだったのだ。
「‥‥少し、若者たちがはしゃいでいる場所から離れましょうか」
「賛成」
 アダムは三人たちの様子をみて一言。男湯の年長組たちも、すすすと湯の中を移動。
 止めるセラと行くぜ覗きに! のテンションの彦と真一。
 確実にセラは巻き込まれポジションにいた。
 桶ピラミッドを登って頂点付近。
 もうすぐでパラダイス! というところで。
 ぐらり、と。
 お約束、発動。
 桶が崩れて柵が派手な音たてて倒れてゆく。
「賑やか‥‥ですねぇ」
 のほほん、と紫翠は彼らを見守る。
 そんな彼らはというと。
「あ、いや‥‥その‥‥ナイスタオルっ!」
 ぐっと親指をたてて、女湯の面々へと笑顔を向ける彦。だがしかし、足はじりじりと出口の方をむいていた。
「あああ、だからやめましょうって言ったのに!」
「セラ! 一番ノリノリだったお前が‥‥俺は止めたんだ! でもセラが強行するから‥‥!!」
「えええええ!!?? うわ、うわ!」
「覗きは撃退!!」
 女湯から容赦なく飛んでくる桶。
 それをセラを盾に避ける真一。
「すまない‥‥お前の犠牲は無駄にはしない!」
 すたこらさっさ、逃げるが勝ち。
 セラを生贄に主犯二人は逃走を試みる。
 だがしかし、そうはもちろん許さない。
「おりゃー!!」
「ちょ、素敵な桶投げ!!!」
 MAKOTOと音の桶攻撃がスコーン! とあたる。
 そんな激しい戦いを幸乃は見守っていた。自分に被害がない限り、構わない。
「さぁ、覚悟しなさいよ‥‥」
「タダで裸を見せる趣味は無い!」
 にぃっこりと向けられた笑顔は、ごめんなさいの言葉を巻き込まれのセラにも呟かせていた。
「あーっ! 生びーるがおいしい!」
 ぐびーっ! と温泉と、覗き退治を終えたMAKOTOはビールをぐいっとその喉に落としていく。
 そのころ覗きの三人は露天風呂廊下の出口で正座の刑、となっていた。
「足のしびれはどうー? えぇーい」
 容赦なくつつく音。
 ぎゃあああ、と軽く悲鳴が上がったりもする。
「さって、壊した柵を戻しにいきましょー」
 ということで、誰もいなくなった露天風呂。柵直しが始まる。
 しびれる足と最初は戦いながら、柵はあっと言う間に直ってゆく。
「直ったわね、はい御苦労さまー」
 修理終了、その場で解散。
 やっと解放され覗きっ子たちは一息つく。
「お疲れ缶コーヒー。まぁ、おごりだからありがたく飲むがいいよ」
 そして道具先に返してくる、という音に真一がついて行くことに。
「‥‥ある人が、戦いだけが、仇を討つだけが、救いじゃないって、教えてくれた‥‥今は何か、わかる気がする」
 真一は、言って思ったことをまた口にする。
「‥‥この温かい感覚は好きだ」
「あったかいのは、良い事。大事にしていきたいねー」
 宿に道具を返却してと、少し世間話などすればまたあっという間に、日付の変わる時間だった。
 明日の祭りを楽しみに、傭兵たちはお休みなさい。

●祭の時間
 退治した翌日、町は活気にあふれていた。
 バーベキューで味見した以外のタコは、町の人々にわけられ、退治の御祝と町おこしのためにタコ祭りがおこなわれていた。
 あっというまに、昨日はなかった出店がたちあがり、お祭りではよくあるりんご飴や綿菓子、射的のゲームなどがすでににぎわいを見せる。
 その祭りへと傭兵たちは繰り出す。
「荷物を整理してから行きますので‥‥先に楽しんでいてください」
 幸乃は先に出発した一行を見送り、一度宿の中へと戻ってゆく。
「そっか。それじゃ‥‥アダム、行こうぜ」
「童心に帰りますね」
 千影はアダムの言葉に頷く。
「‥‥いやぁ、素敵な食い放題ツアーだったなぁ!」
 きゃっきゃとはしゃぎはじめ、タコ焼きを食べ、また射的も楽しむ。
 活気ある町の様子に、アダムの表情は柔らかく、ゆるんでいた。
「‥‥これは土産にしましょうか」
 射的でとったものを土産にとほのぼのとした笑み。
「射的楽しいですね、もう一回‥‥」
 彦は射的のおもちゃの銃を構え、タコ人形を討つ。
 もうすぐ終わってしまうだろう楽しい時間をなんとなく予想して、今回の事件の元となったタコの形をした人形を手土産に。
「たまには‥‥こんなにのんびりしても‥‥良いと思います‥‥いい思い出になりました」
 祭に賑やかしさに瞳を細めつつ、紫翠は笑む。
 忙しく危険な日々の中に、こんな日がたまにあってもいいのだと。
「‥‥俺は‥‥焼き続けなければない‥‥人々の笑顔の為に‥‥な」
 なぜか露天の中、タコ焼き屋に入っている真一がいた。
 ピックを素早くさばきタコ焼きを作っていく。
「なんでタコ焼いてるのー」
 と、通りかかった一行、音がてててっとやってくる。
「ん、薬袋、タコ焼きやる」
「おおお、できたてありがとう、マヨマヨ、マヨもよろしく」
「邪道め‥‥太るぞ」
「その分動くからいいの」
 真一はできたてタコ焼きを音に渡すがマヨネーズ、と突っ返されるタコ焼き。
「日本のお祭りは初めてなので楽しみだったんですが‥‥とても楽しいですね」
 初めてのことに興味津々、とセラは色々なものを見て回っていた。
「射的! 輪投げ! たこ焼き! りんご飴!」
 MAKOTOはやりたいもの、ほしいものを目指して浴衣のすそ翻しつつ、祭りの中を動いてゆく。
 その頃、荷物整理を終えた幸乃はジャージにニット帽、そして伊達眼鏡と少し変装して祭りを楽しんでいた。
 ぶらぶらと散策して、もう一度宿へ。そしてゆっくりと、露天風呂を満喫。
 幸乃が満喫しているのを知ってか知らずか、アダムは最後にもう一度露天風呂で締めますか、と宿へと向かっていた。
 昨晩のように騒がしいことにはもちろんならず、ゆっくりと、穏やかな大人な時間流れる露天風呂となった。
 誰もがそれぞれの時間をしっかり楽しんでいた。
「‥‥いやぁ、素敵な食い放題ツアーだったなぁ!」
「おいしいツアーだったわ‥‥お土産もいっぱいもらえたし」
「なんだかちょっと‥‥名残おいしいです」
 タコキメラを倒した傭兵さんたちだ、と地元の人からお祭りの色んなものを手土産にもらい、彼らはラストホープへと戻ってゆくのだった。