●リプレイ本文
●餅パへようこそ!
餅がたくさんありすぎるので餅パーティー。
ということで、バルトレッド・ケイオン宅へとやってきた傭兵ズ。
「はーっはっはっはっはっ! この度は素敵なお誘いありがとう!」
「うるさい」
「あたっ‥‥ゴメンナサイ」
玄関先で今日最初の高笑いをした七瀬 帝(
ga0719)の頭にどこからともなくシャロン・エイヴァリー(
ga1843)はハリセンを取り出してスパンっと良い音たてて突っ込みを入れた。
帝はちょっと涙目になりつつごめんなさい。
そんな様子を新巻鮭背負った櫻井 壬春(
ga0816)がにこにこ見ていたり。
「にゃっふ、家にも、遊びに来てくれて、アリガトー‥‥という訳で、今度はミハルも、お宅訪問っ!」
「お久しぶりです。バルトさん、ダンパでは、お世話になりましたわ。今回もお招きありがとうございます」
神森 静(
ga5165)は柔らかい笑顔を浮かべ礼を一つ。
「はい、いらっしゃい。きてくださってありがとうございます。どうぞ上がってください」
ということでお邪魔します。
玄関あがってリビングへ。
「殿方の一人暮らしは散らかっていると聞きましたが‥‥綺麗です」
きっちり片付けされたリビングに一歩入り赤霧・連(
ga0668)は微笑む。
「誘ってくれてありがとう。食べるだけなのは何なんで俺も料理手伝わせてもらうぜ」
二本の食べ物に興味があるし、料理のレパートリーも増えるとザン・エフティング(
ga5141)は思う。
聞いたことはあるが食べたことはまだない餅という存在に興味津々。
キッチンに入りそこに置かれた山盛の餅とご対面。
「ニャは〜☆ 餅ニャ〜☆ あたい大好きニャ〜☆ でも沢山あるニャね〜」
その山盛餅を目にしてアヤカ(
ga4624)の心のしっぽが揺れる。
「この世の全ての米に関わることは、おむすびマンこと、この鯨井起太にO・MA・KA・SE!」
今にもターンしてスポットライト浴びそうな勢いの鯨井起太(
ga0984)は有意義な餅パー(もっちもちパーティーの略)をもたらすべく思考を回している。
静も頬に手をあてものすごい量、これだけあると大変、だけど‥‥料理のしがいがあると言う物と楽しみにしていた。
「こんなにたくさんお餅が貰えるなんて‥‥羨ましい!」
お餅大好き帝はその山に瞳をキラキラ。大好きなものが目の前にたくさんあるというのはやはり嬉しいこと。
「丸火鉢を持ってきたから炭火で焼けばいつもより美味しいハズ!」
「大荷物だとおもったら火鉢を‥‥それもまた風情があっていいですね」
「好きなもののためには労力は惜しまないよ!」
リビングにどんと火鉢設置。
それだけで心躍るというものだ。
「賑やかでいいですねぇー。それじゃあお餅をやっつけ‥‥料理しましょうか」
さて料理開始です。
●レッツ クッキン!
「OK、じゃあ料理にとりかかりましょう!」
シャロンは水玉エプロンを取り出す。
シャロンは水玉エプロンを装備した!
家庭ポイントが5あがった!
傭兵ポイントが5さがった!
と、今は傭兵であることをちょっとおいておいて。
シャロンはホットプレートをリビングにセットして準備中。
そのころ台所では壬春のもってきた新巻鮭を華麗に帝がさばいていた。
「餅と鮭のコラボレイション!」
コラボレイションはすまし汁の雑煮と味噌仕立ての雑煮になる予定。
「味噌仕立てには頭と骨のダシたっぷり!」
「ミハルも、お手伝い‥‥! 料理、は、慣れてナイ‥‥お手伝いしながら、勉強スル」
ぐっと気合十分。可愛らしい黒猫柄のエプロンと三角巾姿の壬春は料理の勉強もしつつ、材料を並べたりと頑張っていた。
「飽きないように食べるにはいろんな料理を作らなくちゃニャね〜」
と、やわらかくした餅を耐熱皿に並べているのはアヤカだった。
作っているのは餅グラタン。
餅の上にミートソースやピザソース、そしてチーズをのせてオーブンへ。
「次は‥‥ずんだ餅でも作ろうかニャ〜☆」
あいた時間にもう一個、と取り出したるはゆでた枝豆。
枝豆の薄皮はきっちりとっておく。
「餅は食べた事がないのでどんな料理が作れるのかほとんど知らんのだよな」
アヤカがせっせと作るのをザンは興味津々と見る。
そんな彼の手にはレシピ本が。しっかり事前にチェック済みだ。
「餡子餅用のあんこは準備済みだな。きな粉餅とかも良さそうだな‥‥きな粉はあるか?」
「きな粉ですか? はい、ありますよ。きな粉きな粉‥‥」
戸棚の中にあるはず、とがさごそするバルトレッド。
「あとははからみ餅か‥‥大根おろしをからめて食べるってめちゃくちゃ美味しそうだな」
今からその味を想像し楽しみにするザン。
大根おろしをつくるには大根が必須。
「あ、大根でしたらとりますね」
一番冷蔵庫が近い連がオープン。
「‥‥ほむ、アレは見なかったことに致しましょう。大根大根」
「あ、冷蔵庫までは掃除の手が回らなかったんですよ‥‥」
見なかったことにされた冷蔵庫の物体はさておき、ザンの手には大根がわたる。
からみ餅のために、大根おろし開始。
その様子を幸せそうに壬春が見ていた。
「おろしモチ‥‥大根おろしと、オカカとか。焙ったモチ、と、シャケ。とろけたチーズ、絡めると、たいへんオイシー」
「お餅は網のほうがやりやすいけどフライパンで‥‥焦げないように気をつけなくちゃ」
静はフライパンで餅を気をつけて焼いてゆく。
その隣では連がぜんざいを。
「お餅のデザートフルコース‥‥あとは揚げ餅にトッピング、ゆで餅にジャム色々‥‥おいしそうです」
と、調理されていく餅たち。
だがそれでもまだ、あるのだ。
「よし、ならばこのボクが一肌脱ごうじゃないか、なあバル男くん」
「あれ、僕? バル男くんって僕かな? 面白いからOK」
起太が持ち上げたるは餅。
「腹にたまる餅はフードファイターでもない限りそんなには食べられない。無理して頬張るのも餅に対し失礼極まりない行為なので、それもしたくない‥‥けど自分たちが去った後にもおいしく食べられるように」
餅を、おかきにと小さくカットしていく起太。
それをバルトレッドは覗きこむ。
「もしや切って終わりとか‥‥」
「これから一週間くらい、カラカラになるまで乾燥させて、揚げて塩かけて食べるんだ。空き瓶にいれておけば保存のきくおいしいお菓子の出来上がりときたもんだ」
「へぇー」
ひとつお勉強、と切られた餅は乾燥へとはいる。
と、わいわいがやがや餅料理を作る手がたくさんあることもあってあっという間の色んなものができる。
台所からリビングへと運んで移動。
そのリビングではシャロンの餅ピザが良い感じになっていた。
「大きいの一つ焼いたから、あとはお好みで具をのせて小さいのをつくっていくといいわ。日本のおせちってあっさり風味だし、こういう大味のも良いでしょ?」
「お餅のピザ‥‥!」
「やってみる? ミハ、具を乗せたヤツにチーズをかぶせていって」
これは簡単、と壬春は作り方を覚える。家族においしいものを食べさせてあげたいと思いながら。
「ジュースとかも準備万端ですね、あとはお茶も‥‥」
「お腹にヤサシー、カモミールとペパーミント、の、お茶、淹れるヨ」
お茶も淹れて、もっちもちパーティーの開始です。
●とってももちもち
「おいしい‥‥」
「賑やかな食卓というものは、それだけで最高の調味料になるものだよ」
大勢で餅料理を囲む。
もともとの素材は同じなのに、その味は色々。
「マヨネーズ餅には好みで一味をかけると良いニャ!」
「ちょっとぴりっとしてて良い刺激ですね」
和気藹藹と食べつつ、時々黙々と食べつつ、料理は確実に減っていた。
「食べ過ぎても薬を用意していますから、大丈夫ですよ」
準備万端、静はもしもに備えて薬もちゃんと持ってきていた。
空いた皿を端に寄せたりなど気配りもしっかり。
「餅って何というか不思議な食べ物だな。だが気に入った癖になりそうな感じだぜ。からみ餅は思った通りうまかった」
「ゼンザイ、写真で見たのと同じだわ‥‥はわー」
ザンはもりもり初餅を堪能。その味にしっかり魅入られていくようだった。
そしてシャロンは使い慣れない箸と格闘しつつ、ぜんざいを幸せそうに食べていた。
「餅の魅力は語りきれないが、味は勿論、こうして餅が焼けて膨れる様をじっくり見つめるのが好きなんだよね‥‥」
まだお餅はあるよ、と帝はもってきた火鉢でぷっくり焼かれていく餅をうっとりと見つめていた。
そして食べ頃になれば好みのトッピングをつけて食べる。
「あれ、ミハるんはもういいの? まだあるよ?」
「ちょっとずつ‥‥たくさん、食べた。お腹いっぱい幸せー」
箸を置いて笑顔。
と、壬春の視線はおいてあるピアノへ。
「ピアノあル‥‥バルト兄、ピアノ、弾くヒト?」
「うん、弾く人」
「俺も、ちょっとだけ、習ったコト、あル。何となく、親近感‥‥」
「ピアノ‥‥弾いてもいいですか?」
丁度それを耳にした連は音楽大学生。
皆さんのリクエストがあれば、と言う。
「それじゃあ是非。お餅を食べるのも良いですけどちょっと休憩ですね」
ピアノのカバーはずして、その前に連が座る。
弾く曲はリクエストのあった曲に少しアレンジを加えて。
その皆が楽しむ様子を、静は写真におさめもする。
楽しい思い出をしっかり残すために。
そしてピアノを弾き終わって小さく礼をする連。
「ほむ、これは‥‥」
顔を上げた瞬間に部屋の隅っこにまるまった紙切れを連は発見する。
ちょろっと見える文面からすると、どうやら餅と一緒に入っていたものの様子。
「クシャクシャなったものを発見したです!」
「あ、それは‥‥もうゴミ箱の奥底にしずめちゃってください」
「お手紙みたいですよ?」
「お餅送るからねわーきゃーって感じの手紙なんです。送ってきた人は‥‥あの写真の‥‥」
飾られている写真のある所をバルトレッドはしめす。
そこではただいまシャロンが興味津々にそれらを眺めていた。
と、連とバルトレッドの視線に気がついてふっと振り向く。
「なんか写真がたくさん置いてあるけど、趣味なの?」
「趣味というか習慣みたいなものかなぁ‥‥母親が写真飾るの大好きで染み付いちゃってるんです」
「ふむ‥‥ここで問題です! この写真の女性の正体はっ!? いち、知り合い。に、妹さん。さん、年下のカノジョ」
一枚の写真をしめすシャロン。
そこにはバルトレッドと仲が良さ気な一人の女性。
「ああ‥‥それはお餅を鬼のように送ってきた人です」
「おお、この方がお餅を素敵に送ってきてくれたのだね‥‥!」
「で、正解は?」
「正解はどれでもなく、親友の妹なんですよね。親友はそっちにいます」
と、三人でうつった写真も。
「二人とも能力者なんで、もしかしたらそのうち会うかもしれませんね」
「お顔‥‥覚えておく」
じーっと壬春は写真凝視。
「ほむ、どこかで出会えると良いです」
「あ、まだデザート途中じゃないですか。お餅食べましょう」
止まっていた餅への手を再び、と促す。
まだまだお餅料理はそこにたくさんあるのだった。
「お餅と‥‥チョコ‥‥」
「ジャムって意外かも」
「あ、それに蜂蜜もあうのデス!」
「餡子、甘くて幸せ‥‥」
「甘いの大好き‥‥」
甘いもの好きな人たちには幸せデザートタイムでした。
●お腹いっぱいごちそうさま
「おごちそうさまでした。皆さんのおかげであの白い山がなくなって僕の心はとてもすっきり晴れやかです。ちょっとのこってますから‥‥よかったら持って帰ってくださいね」
と、すでにお土産セット済みの餅がそこにはあった。
「お餅ー! バルトレッドさんありがとう!」
「いえいえ、こちらこそカレンダーまで。大事に使わせていただきます」
七瀬帝2008年カレンダーはいつのまに電話の横へ。
「ふぅ‥‥流石の僕もお腹いっぱいだね。色々な料理が食べられて、僕の餅道が更に前進したようだよ」
餅道を、このまま極めるんだという勢いの帝。
大好きなものは今までよりもっと、大好きなものになっていた。
「お片付けまで手伝っていただいて今日は本当にありがとうございました」
「散らかしっぱなしも悪いですからね」
気にしないでください、と静は笑う。
「また良ければ遊びにきてくださいね、それじゃあ‥‥またお仕事場で」
「今日は存分にもっちもちさせてもらったよ。もちを‥‥もちを嫌いにならないでくれればそれで良いのさ」
「僕大好き」
「ミハも!」
「あたいも大好きニャ〜☆」
「今日は御誘いありがとう! またね!」
「餅初体験、堪能させてもらった。もらった餅でまた楽しもうと思う」
今日食べたお餅料理を思い出しつつ、傭兵たちは家路につく。
もっちもちパーティー終了!